言葉のイメージを広げる
毎日使っている言葉のイメージは、言葉を覚え始める年齢から、置かれた環境の中で繰り返し繰り返し、社会や周りが使っている音(この場合言葉ですね)を無意識に聴くことで頭の中に作られていきます。氾濫している情報の中で繰り返される言葉。周りが使っている言葉。それによって出来上がったイメージにあなたは苦しんではいませんか?
他人から与えられる言葉のイメージに振り回されず、自分の持っている本来の価値観を見つけるためにはどうすればいいのでしょうか
「美しい」は褒め言葉じゃなかった
これはベルギーに来て、最初に受けたショックでした。留学してすぐの音楽院でのピアノレッスンで、初めてついたフランス人の女の先生から言われました。もう随分前ですし、フランス語を理解するということだけでも緊張度は100%で、なんの曲を弾いてのコメントだったのか、何を言われたのか、も全部は覚えていません。私としては、「音楽は美しくあらねば」みたいに、今振り返ってみても、すごく大雑把な考えだったな、と思いますが、日本から外に出た当時は、こんな感じでした。
一生懸命演奏した後で、おもむろに立ち上がった先生はフランス語で、「ヨーコ、綺麗だけど、あなたはこの曲で何を表現したいの?」
フランスで美しい(Jolie仏語)はどうやら面白味がないという意味も含んでいるということは随分後になって分かったことです。
「えっ表現って?綺麗に弾けてるだけじゃダメなの?」
それからしばらくは、何をどうしなさいと言うアドバイスもなかったので、❓が続く毎日でした。課題は多いし弾くだけで精一杯。西も東もわからない、知人もいない土地での生活は、ストレス150%のスタートとなりました。そのせいで、一年間は、怖い夢ばかり見ていましたっけ。
その人にしかない美しさを探す
私の専門は音楽ですから、この分野で話を進めましょう。
何をどうしたら先生に聞いてもらえる演奏ができるのだろう?と日夜考えていました。ヨーロッパの先生は興味がないと、熱心には聞いてくれません。暗譜して綺麗に弾けていても、興味がないと、ガサガサと聴きながらハンドバックを整理したり、動いたり、途中でストップがかかったりします。
退屈なんですね。
せっかく練習したのに、やっぱりそれは気持ちの良いものではありませんでした。挙句に、日本人的な演奏ね!と言われる始末。そこでまた私には新たな疑問が湧きました。
「日本人的ってどういう演奏なのかしら」
日本人的な演奏ってどんな演奏?
その答えを見つけるために、とにかくたくさんの素晴らしいピアニストの演奏を聴きまくりました。現在のようにYoutubeもSpotifyもiTunes もない時代でしたから、貸しレコード屋さんでレコードを借りて、カセットテープに録音したりして、お料理を作る間とかご飯を食べる最中に聞いていました。
フランス人のピアニスト、ロシア人、ドイツ人、等国籍は様々でした。同じ曲を複数の違うピアニストで聴き比べると、驚くほど、その解釈の違いや、演奏の違いがあるんです。どの演奏も「美しい」のです。でも、それ以上に心打たれる演奏、音がひときわ美しい演奏、あまり心に残らない演奏、なんだか長いこと聞いていられない演奏などがありました。
ピアノのテクニック的にも同じように完璧だし、整っているのですが、こんなにちがっていいんだ、という思いと同時にどうしてこんなに違うの?という両方が頭の中をグルグルしていました。
演奏はその裏にある人間の裸の姿
「美しい」というのは状態を表す形容詞です。
その中に、確固としたその人の信念がなければただ表面的に美しいだけなのです。
本当の美しさは、その裏にある人間性を感じられた時、初めて美しさに命が吹き込まれ、輝きが波動となって周りの人を魅了するのです。
ですから私の当時に演奏は、表面は綺麗だったけれど、人間的に未熟で、自分らしさが何かもわからないで弾いていた演奏だったのです。
ではどうやって自分らしさを見つけていくのでょう、
最初は自分を100%オープンにして感じることから
- 1.まずは心から好きなことを見つける
- 2.周りがそれに同意しなくても、あなたの好きをたいせつにする
- 3.好きを表現する
一見、な〜んだそんなこと、と思うかもしれません。けれども作られたイメージから抜けられない人には、心から好き、三昧できるほど好きなものはなかなかわからないものです。そして一番難しいのはそれを表現することです。誰もが好きではなさそうなもの、周りの価値観とは違うものを自信を持って表現することは、日本の社会ではハードルが高いと私は感じます。
まずは周りの価値観から一歩外に出てみましょう。そこにはすでにあなたの意志があり、
すでにあなたは美しいのです。
あなたの好きは、あなただけの宝物なのです。
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