夏の企画第2弾、「音の跡」

アート

日本での開催は、早くも今回で5回目になりました。

毎回終わると楽しい、充実した気分になって、子供や大人の参加者さんからの、ぶっちぎりな笑顔にたくさんのエネルギーをもらうことができる幸せを感じます。

今年の開催日は、7月21日で、猛暑の日曜日の午後。ギラギラ照りつける太陽に、息もできないくらいの暑さでした。

会場は世田谷の住宅街で、小田急線と井の頭線のちょうど真ん中くらい。どちらからも同じぐらいの距離があるところでした。これで何度目かなのに、迷ってしまい、炎天下汗だくの到着でした。遅れちゃってごめんなさい。

すでにスタッフさんが会場を冷やしておいてくださり、ほっと息。冷たい麦茶も、なんと美味しかったこと。

今回の参加者の方は全部で10名。親子での参加、また個人での参加の方もいらっしゃいました。年齢は3歳から、大人の60歳くらいまで、と幅広い年代層に経験していただくことができたことが本当に嬉しかったです。

音楽会とは違うエネルギー

挨拶の後、私のピアノが音を出し始めると、通常の音楽会の時とは違う聞き手のエネルギーを感じました。それは、「どんな音楽なのかな~」じゃなくて、「どんなことが頭に浮かぶかな~」と、音楽から感じていることを、一生懸命頭の中で形にしているエネルギーなのです。音楽を聴いているのではなく、音を聞いて全身で感じとっているのです。

人前で演奏することが多い私の職業ですが、参加者の方々のエネルギーの集中は、私の音楽ではなく、参加者の方々の頭の中なのです。それはどういうことかというと、

「思いっきり自分に集中しているな~」と私にも伝わってくるものなのです。この感覚は、本当に素晴らしく、一人一人が、自分自身としっかり繋がっていることを感じさせてくれる、とてもハッピーなエネルギーです。

その時の私の奏でた音楽は、自分(参加者の方々の自分自身)に繋がるためのガイド役のようなものになります。

スマホの日常と想像力

電車に乗って腰掛けて、反対側の席を見てみると、座っている人のほとんど100%はスマホを見ています。寝ている人以外はほぼ全員と言っていいくらい、スマホの画面を見ています。

街でも、歩きながらスマホをしている人。レストランでも、カフェでも、新幹線でも、スマホは私たちの視覚をキャッチして離さない光景が目に入ります。

でも、これは、何を意味しているのでしょう?

視覚による情報に常に支配されている私たちの脳は、何かを考えたり、想像したりする時間が以前より、ずっと少ないということなのです。

音楽は視覚的影響は皆無ですから、耳から入った情報(音)は、頭の中で記憶や体験から作り出されるイメージとなったり、身体に湧き出る感情に結びつきます。

この「音の跡」のイベントでは、その聞いた音楽によるイメージや、感情を目の前の紙に書き出すという行為に脳が変換するという、とても頭を使う行為を簡単にやってのけてしまうことができるのです。

誰でも、年や性別に関係なく、自分(Inner)に集中することができて、また、そのことをほとんど無意識に、思考で自覚しなくても楽しめる、エキサイティングなこととして感じられるのです。

行き詰まりは想像力で解決できる

日常の何かに息詰まった時、想像力を駆使して、他の解決策を見つけなくてはなりません。

また、自分の将来を思い描くのも想像力。自分の未来を具体的に想像すればするほど、実現への道が見えてくることは、いろいろなところで、情報として耳にしていることでしょう。

想像力は訓練でどんどん開発されていくものです。

アートは個性を表現するのに優れた方法と言われます。そうなんです。表現するということは、頭も身体も全てを駆使して、自分を開放するということです。

白い紙に向かうことを恐れず、情報提供のツールから一旦離れて、耳を澄まし、手を動かすこと。アートは没頭できる最高のツールです。ほんの少しの時間、楽しみを増やながら日常を楽しい彩りで過ごしたいですね。

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