昭和の時代からおけいごとと言えばピアノがすぐに思いつきますが、今でもランキングでは上位に位置しています。
男女差を考えた時に、ちょっと面白い傾向があることもお話ししたいと思います。これはサイトなどで出てくるデーターを元にしているわけではなく、私が実際にこの35年以上500人にわたってお会いしてきた生徒さん達との経験によるものだ、ということを前もってお伝えしておきます。
ピアノは音が簡単に出せるアクセスビリティーの高い楽器
触ってみたい楽器の中でもピアノはやはり人気度が高いようです。
それは楽器の特性でもありますが、叩いたらすぐに音が出るし、一人で弾いて楽しめるという点がとても魅力です。
また、ハーモニーが弾ける数少ない楽器ですから、音の多様性からも癒される波動を感じるのではないでしょうか。カフェやラウンジ、バーなどで流れているBGMもピアノが多いことからもわかります。
子供の時にピアノを習う割合が多いのは女の子→大人になって本気でピアノを再開するのは男の人
音大生時代からバイトで子供たちにピアノを教え始めていました。
記憶を辿ると、習いに来ていた女の子は全体の6割を占め、男の子は、お姉ちゃんがやっているから、という弟くんの立場からピアノを習っているケースが多かったように思います。
この傾向はベルギーでも同じで、まれにお兄ちゃんが習っているから、私も、という妹ちゃんもいました。みんな可愛くて楽しい時間でした。
一方、大人になって、ピアノをどうしてもやりたかった、途中でやめたので復帰したいという方は、9割が男性の方でした。女性の方もご相談を受けることはあったのですが、やっぱり今更恥ずかしい、主人や子供達に反対された、など、大変残念な理由で再開に至らなかった女性が多かったことも思い出されます。
どうしてピアノをやめてしまう人が多いのでしょうか
やめてしまう理由はさまざまです。
- 引っ越したから
- 先生が変わって楽しくなくなってしまったから
- 最初からそんなに好きじゃなかったから
- 時間や支出の優先順位が変わったから
- 曲が難しくなったから
- 夢が敗れたから
これらの理由を見ていると、外的な理由がほとんどであることがわかります。
場所や先生、または学校や仕事といった環境の変化という外的要因に関係していて、
ピアノが好きではない、というような心の声を感じることはありませんでした。
やめてしまう年齢は、12歳から15歳の間が一番多く、中学から高校への進学に伴った優先順位の変化が大きな影響を及ぼしていました。この時期を乗り越えた生徒さん達は細々ですが、勉強の合間に弾くと気分が良くなる、と続けられていたようです。
時間経過して大人になって弾きたくなる
ではなぜ、時間を経て、また弾きたいという気持ちが戻ってくるのでしょうか
- 時間ができたから
- 楽器を弾くと健康や情緒に良いことがわかったから
- 昔の断念した気持ちをそのままにしたくないから
- ずっと好きだったあの曲を死ぬまでにどうしても弾きたいから
- Yoshikiみたいにピアノをかっこよく弾きたいから
- 誰かのためにサプライズで弾きたいから
上記の理由は、内側の気持ち、内面の欲求が大きく影響していることがわかります。
誰かの喜ぶ顔が見たい、とかずっと好きという心の声を大切にしたい、カッコいいと思われたらワクワクする、というようなポジティヴな気持ちが復帰を促しているのです。
やめないための3つチェックポイント
1.始める前に、なぜ、今ピアノを習いたいのかを問う時間を作ってください
周りの子供たちがやっているからですか?
近くに先生がいるからですか?
時間があるからですか?
アートで何かやってみたいからですか?
続くかしら〜と悩む前に、周りからの影響ではなく、自分が習ってみたいのか、自問してみてください。
アートは自分を表現してみたい、という思いから出発するものです。ですから人からの要求や、別にワクワクしないのならば、他の楽器、他のアートの分野も考えに入れてみることが大切です。
2.必要な環境が整っているかをチェックする
すでに楽器を購入してありますか、または購入の予定はありますか?
ピアノは家の中で場所を取るだけではなく、音がするのでご近所との兼ね合いも無視できないポイントです。弾かなくなったピアノがただの物を置く家具のように扱われているのは、とても悲しい光景ですね。
私もピアノが原因でトラブった経験は3回あります。音のトラブルは思っているより頻繁に起こり、音を出す側と聞かされる側には、大きな感じ方の違いがあるケースが多いことを理解しなければなりません。
みんなが自分と同じように音楽を愛しているわけではないのです。それは至極当然のことですね。
みんながみんなスポーツが好きではないのと同じことです。
なので、周りの方への気遣いも、音楽家の卵のマナーとして大切な部分になります。強いて言えば、これはピアノを弾く人が周りに怯えて弾くという、避けなければいけない状態のためでもあるのです。
また先生のところに子供が一人で通えるか、同伴が必要なのか、ということも大切なポイントです。近いからどの先生でもいいのかどうかを考える必要性も出てきます。
先生を選ぶ時、役立つポイントについては、今後のブログで詳しく説明していきます。
最後はお子さんの場合ですが、レッスンとレッスンの間に親御さんが何かしらの興味を持って、サポートができるでしょうか?子供は大人と違って、目的意識が必ずしもはっきりわかっていない場合があります。年齢によっては、親御さんの希望ということもあるでしょう。
そこで、親御さんのピアノのお稽古に対する興味がそのまま、上達に反映することが多いのもここでお伝えしなければなりません。
どんなことでもいいのですが、関心を示してあげるだけで、先生のように教える必要もありません。また、練習を強制したり、結果をジャッジメントしたりすることは避けることが必要です。
あくまでも、運動会で走っている我が子を応援するような気持ちを伝えるだけで、それが大きな励みとなって、ピアノに向かう気持ちを促すことにつながります。
3.習う人の現状を把握しておく
さて、ピアノの弾ける環境も整ったし、良さそうな先生も近くにいるようだ。
「じゃ、始めようか」と腰をあげているあなた!
もう一つだけ。
それは未来のピアニストさんは、簡単に素敵な衣装を着て、優雅にピアノにむかう自分を想像しています。
簡単に音が出るピアノ。その夢を壊さないようにと、褒めることはもちろん本人にとって大きな励みになります。けれどもそこにちょっとだけ、苦い味を加えなければなりません。なぜなら大袈裟に聞こえるかもしれませんが、人生で大切な忍耐、と積み重ねが必要なことを愛を持って教えてあげる大きなチャンスがすでに始まろうとしているからです。
ピアノの練習やスポーツをある程度まで習得した人たちは、この「積み重ね」、ということを知っています。
なぜなら、2つとも筋肉を使って習得しなければならない部分があるからです。
ピアノは指、手の筋肉をはじめ、身体全体を使うことはあまり意識されていません。けれども毎日の練習というのは一つに、この指や手の筋肉を落とさないためでもあるのです。毎日ほんの少しの時間、ピアノの前に座ることができるかどうか、まずはやってみよう、と心に決めてください。
最後に
人生において「忍耐」と「積み重ね」は体験しておくと窮地を乗り越えるときの大きな助けになってくれることは言うまでもないことです。心の声の「好き」が聞こえたなら、必ず大きな喜びと成長を約束してくれるでしょう。
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