人間は本当に変われるの?

ノウハウ

私はアートの分野で仕事をしています。その活動の一部に音楽院でピアノを教えるという時間があります。週3日はその仕事に専念し、数多くの18歳から25〜6歳までの生徒さんを育ててきました。生徒さんの国籍は様々で、実に17か国に及びます。

毎週レッスンに来る生徒さんの成長は私にとって、学びであり、同時に活力でもあります。

そんな生徒さんですが、さまざまな素晴らしい個性を持ち、その成長の仕方も速度も千差万別です。一人の生徒さんとは、日本で言う大学と大学院の課程を一緒に勉強するので、平均5年の付き合いになります。

そこで毎年、学年末になると私にはある疑問が起こります。

それは

”どうして、うまくいかないのに、同じ練習法を繰り返しているんだろう?”という疑問です。

ピアノの練習では、ある一定の時間練習をしても成果が見られないことが多くあります。それは才能と言ってしまうにはあまりに短絡的ですが、ここではの具体的なピアノについて考える前に、

この、なぜ、変えることをしないの?という疑問を考えてみたいと思いました。

なぜ、新年に今年の目標を立てるのか

日本人は年が明けて1月になると、1年の目標を立てる人がたくさんいます。海外で生活する私は、新しい年に新しい抱負を考える現地人に、ほとんど会ったことがありません。ですが、日本のSNS、あるいは、年賀状、その他、メッセージで、今年は〇〇できるようになりたい、今年は〇〇を目指します、と言ったようなメッセージ性を含んだ投稿やメールを目にします。

おそらく日本にある「一年の計は元旦にあり」という言葉があるからかもしれませんね。物事は何事も最初が肝心だということでしょうか。また、日本人の向上心の強さの表れだとも言えるでしょう。

ですが、日本だけかと思いきや、英語圏にもあるようです。新年に立てる目標を New Year’s Resolutions (ニューイヤーズリゾルーション)というようです。

ある400人をベースにしたデータによると、目標を立てることには、きちんと意味のあることだそうです。

では、なぜ、なかなか持続せず変わることができないのでしょうか?

現状を維持しようとするのが人間の本能

上記した調査の結果の中で、12月26日から12月31日の間に何か目標をたててはどうか、と聞いたところ、次のような答えが出たそうです。

  • 1.生活を変えることに興味がない、と答えた人
  • 2.考え中の人。目標はたてるけど、新年にはやらないと答えた人。
  • 3.新年の目標をたてると言った人。これは全体の41%。

数字を見ると、過半数には満たないけれど、かなりの%で、何かしら今の生活を変えたいと願っているように見えます。

ですが、2番の人は、目標設定後2週間は51%の人が目標通りに行動できますが、半年後には4%にダウン。

3番目の人のうち71%の人たちが、1、2、週間は目標通りできており、半年後は46%で、続いていたという結果が出たそうです。目標を立てた方が、目標を意識している時間が長いと言うことですね。数字をそのまま受け取らないにしても、ある傾向を見ることができます。

人間は習慣の生き物です。なので、新しい習慣が身につかなければ、自然と前の習慣に戻り、元のルーティーンに入ってしまうということです。また、さらに、人間はエントロピー増大傾向にあるので、整然とされたものは混沌に向かうという自然の流れがあるのです。

人間はそもそも、自分を変えることに対して「本能的に恐怖」を感じる生き物でもあります。

その原因は、「恒常性維持」と言う、人間の本来に備わっている本能にあります。こうした自己維持のための本能があるからこそ、私たちは今のままでいようとするのです。

人が本当に変わりたいと思う時

では、本当に、心から変わりたい、と思う時、というのはどんな時なのでしょう?

実は、本当に自分を変えたいと思う人は40%。

今の自分のままでいい、と思っている人はなんと半数以上の60%、という結果があります。

※アンケートは30~45歳の日本全国の有職既婚女性を対象にDomani編集部が質問。調査設問数10問、調査回収人数110名(未回答含む)

本当に自分を変えたいと思う時は、

  • 自分がなりたくない状況が、常に目の前に広がっている時
  • また、自分がそうありたい状態が頭から離れない時

そして、”どうしても”と言う意志の強さにも影響されます。

どうしても〇〇になる!

どうしても〇〇できるようになる!

変化を迫られる状況、いわゆる、ある意味での窮地です。

窮地に立たされた時、初めて私たちの”変わる”と言う信号が青になるのです。

変われるスパイラルとはどんなことから始めるといいのか

まずは今の自分と向き合うことから始めなければなりません。すなわち自己認識する機会を作ること。

  • 自分は何が好きなのか
  • 仕事で何が原因で失敗したのか
  • 何を優先して生活しているのか
  • また、何かトラウマを持っていないか
  • 過去に傷ついた経験はないのか

どんな自分も等身大で向き合うことから始めます。

新しいスパイラルはどのように作られていくのか

そして、その次は自分と合わないもの、自分ではないものを手放していきましょう。

それは今までの仕事のやり方かもしれません。だとしたら、そのやり方を手放し、新しいやり方を生み出していく必要があるのです。

食べると、胃腸が重くなる食べ物だったら、その食べ物を調べ、なるべく食べるのを止めるか、全くあなたの食卓から除去してしまう必要があるかもしれません。

思い切って、やめてみましょう。やめることによって、新しい習慣を吹き込むことが可能になります。

新しい習慣を取り入れることは、今までの行動パターンとは違う、と言うことを意識しましょう。そして、行動パターンが変わると、あなたの思考は少しずつ変化していくのです。なぜなら、あなたの目の前に広がる景色が変わります。1日のタイムスケジュールが変わります。あなたの周りにいる人が変わり、新しい情報を耳にします。

人間の長年根付いた習慣に新しい息を吹き込むのですから、氷を溶かすように、少しずつ、少しずつ、新しい行動パターンを実行していきます。

そして、何よりも継続することを楽しみましょう。ほんの少しの変化なら、大した苦労もなく、実行を続けることができます。

  • 小さな新しいことを毎日続ける
  • 無理をしない
  • 外見から変えてみる
  • 環境を変える
  • 付き合う人を変える

まずは見える部分から、そして段々と、考える時の癖、思い込み、トラウマなど、見えない習慣を意識してみましょう。

必ず変われる!と信じることが何より大切です。

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