手は「外部の脳」「第2の脳」と呼ばれるわけ

アート

手を動かすことは脳の活性化につながる

指には脳につながる神経が多く、手や指を活用すると、使わないときに比べて脳の血流量がおよそ10%増加するとされ、なかでも親指が重要とされています。指や手を動かすことで、記憶や学習をつかさどる大脳の「前頭前野」、運動の命令を出す「運動野」、位置情報を判別する「頭頂葉」など、脳の広い領域で普段より活動が活発になると言われています。

普段、お箸やペンを持ったり、ものを掴むと言う程度では、脳の刺激にはなりません。普段しない動きを意識して、行う必要があります。

ピアニスト達は長生き

ちょっと古い香りのするピアニスト達の名前ですが、私が学生の頃よく聞いていたピアニスト達です。

  • イエルク・デームス 91歳
  • フリードリッヒ・グルダ 70歳
  • セルゲイ・ラフマニノフ 70歳
  • ヴィルヘルム・バックハウス 85歳
  • パウル=バドゥラ・スコダ 92歳
  • ラド・ルプー 77歳
  • ラザール・ベルマン 75歳
  • アルフレッド・コルトー 85歳
  • ウラディーミル・ホロヴィッツ 85歳
  • スビャトスラフ・リヒテル 82歳

こうやって見てみても、みなさん、ご高齢でしたね。

ここにあげるピアニスト達は、どの方も素晴らしく、ラジオで聞いても、「あ、ホロヴィッツだ!」とすぐにわかるような音、そしてその人独自の癖のある、独特のセンスで多くの人を魅了しました。

ラジオで聞いても、すぐに演奏だけでわかる、と言うことは、舞台での彼の振る舞いや身なり、強いては様相などとは全く無関係に、彼の音楽だけで、彼自身の全てを表現していたと言うことです。

現代は、ピアノの演奏に何かプラスαがないと、人気が出ない、といったことをよく耳にするのですが、本来は音のアートですから、そういったプラスαは必須ではなく、視覚からも楽しむ、と言った時代の流れを感ぜずにはいられません。

ピアノを弾くことは脳に関係する?

ピアノを弾くことによって、脳のどの部分を使って活性化していくのでしょうか?

実はすべてをまんべんなく使っているのです。

1.楽譜を読む⇒後頭葉で視覚を使う
2.楽譜を記憶する⇒側頭葉頭頂葉で視覚で処理した楽譜をたくわえておく

3.ピアノを弾こうとする⇒鍵盤の位置や空間を認識するのに頭頂葉を使う

4.指や足などの体に指令を出す⇒前頭葉で指令をだす

5.聴いて、間違いがないか理解する⇒側頭葉で聞いた音の情報を受け取って前頭葉で理解する

6.フィードバックする⇒脳の深い所(脳幹・視床下部など)も深く連携する

すごいですね。

そしてまんべんなく使うことで、実際脳は、ピアノを続けることで活性化され強化していきます。

ピアノをずっと続けていくことでどのような効果があるの?

強化されると言うのは、脳梁(のうりょう)と言う左脳と右脳の連絡橋のような役割の所が太くなります。

太くなることで、左脳と右脳のバランスが取れるのです。

まず、1.の楽譜を読んで、脳で処理します。次に2.の脳に取り入れた譜面の情報を3.と4.を使って指を動かし、ピアノを弾きます。(音を出します)弾くという行為は、このように2.3.4.までを一連の流れで使うわけです。

すると

1.と2.の一時的に情報を記憶としてとどめておく処理はワーキングメモリーを使うことになります。

このワーキングメモリーの能力を高めると、違う動作や作業をいっぺんに行うマルチタスクが簡単にできるようになっていきます。このマルチタスクの能力が高まルと、普段の生活や仕事にかなり役に立ってくるはずです。

マルチタスクができることで日常の何が変わるの?

左手と右手と異なる動きで弾くピアノで、違う動作をいっぺんに行うことを身につけられます。左脳右脳に同時に刺激を与えるのです。また、ピアノの勉強は1曲だけの宿題ということはあまりなく、何曲かを平行に、練習はその数曲を切り替えながら、均等に上達するように進める必要があります。


それをピアノ以外のビジネスの場面に置き換えてみるなら、複数の作業を同時、または短時間で切り替えながら平行して行うことになります。

業務の合間に何度も仕事のメールを返信する、会議に出席しながら別のタスクの資料を確認するなど、2つ以上の作業を同時に進行している状態は「マルチタスク」に該当します。

これは教育の場面でも置き換えられるでしょう。

複数の教科にわたって宿題が出ていたり、塾やお稽古事と学校生活の時間をうまく使いわけたり、複数の事柄をオーガナイズすることを習得することに役立つことがわかります。

手先で何かを創り出す楽しさ

これまで脳の見地からピアノが習い事の中でまんべんなく、脳を活性化しながら、習得できることを話してきました。

さらに私がそこに加えたいことは、前記したように手先の動きが脳の活性化をまんべんなくすることを促しますが、その一方で、そういった難しいことを全く意識しなくてもいいということです。

なぜならば綺麗なメロディーやハーモニーに心奪われながら理屈ではない、感情という側面も豊かにしてくれるからなのです。これは脳(頭)と心とを同時に活性化させ、豊かにしていくことのできるアートの魅力です。

指体操やツボマッサージをすることもとても有意義です。けれども、そこに美しい何かを自分で表現し、楽しむことを加えることができたら一石二鳥、満足度は必ずアップします。

さあ、あなたもピアノに向かってみませんか?

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